

強烈なエゴを爆発させピクシーズを解散してしまったフランク・ブラックが思う存分やりたいことをやったソロ・デビュー作。これこそ彼がやりたかったことだった。
誰が何と言おうと、やはりこの男こそがピクシーズであり、それだけにどんどん我が儘度は上がり、最後の頃には独裁の限りを尽くしてピクシーズは解散となってしまったわけだが、それだけに解散後の彼が何やるのか大いに注目された。その答えとなったのが93年に出されたファースト・ソロで、セルフ・タイトルというところが本人の自信がうかがえる。共同プロデュースに元キャプテン・ビーフハート・バンドのエリック・ドリュー・フェルドマンを迎え、同じくビーフハート・バンドのモーリス・ティッパーやゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツのカート・ホフマンなど、多彩なゲストが加わってピクシーズ時代とは違った柔軟なサウンドを聞かせる。
とくにアコースティック・ギターを効果的に使った点やポップなアレンジ、またはストリングスを使って聞かせたりするところは、グループでは満たされなかった部分を強く感じさせる。その象徴ともいうべき曲が、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンがあの『ペット・サウンド』を作っていたときに書いた「ハング・オン・ユア・エゴ」のカヴァーで、音楽的に孤独な中で自分を追い込んでいったブライアンの姿に自身を重ね合わせるかのフランク・ブラックのアプローチは、当時の彼の心境を反映しているのかもしれない。その他にもラモーンズについて書かれたナンバーなど、興味深い楽曲が揃っている。以後、ピクシーズ時代とは違った歩みを続けるソロ・アーティストとしてのフランク・ブラックの原点となった重要作だ。

